患者さんにコロナを感染させないための当院の17の施策
感染防止には①感染源の排除、②感染経路の遮断、③宿主(ヒト)の抵抗力の向上、の3つの原則があります。
米国疾病管理予防センター(CDC)は3つの感染防止法のうち、感染経路の遮断がもっとも確実で基本的方法と述べています。
感染経路はさらに以下の4つに分類されます。
1、接触感染(経口感染を含む) 手指、食品や器具を直接接触することにより感染。
2、飛沫感染 咳、くしゃみ、会話などで、飛沫粒子(5µm以上)により伝播する。飛沫粒子は2m以内で空中に浮遊しない。
3、空気感染 咳、くしゃみ、会話などで飛沫粒子(5µm以下)として伝播、あるいは空中に浮遊、飛散により感染。
4、血液媒介感染 輸血、血液製剤の施行、汚染された血液、体液、分泌物が傷や針刺し事故などで体内に入ることにより感染。
病原体によって感染経路が異なるので、感染経路別予防策が必要です。
新型コロナウイルスは、接触感染、飛沫感染、空気感染、血液媒介感染の全ての対応が必要になります。
新型コロナウイルスは、短時間の会話でも距離が2m以上ないと飛沫感染し、紙の上では24時間、プラスチックの上では2~3日生存し、エアロゾル(くしゃみや咳により飛沫したものが水蒸気になり空気中に舞うもの)は3時間生存します。
熱とアルコール、20秒以上の手洗いが有効です。
うがい薬としてはポピドンヨード(イソジンうがい薬)が有効です。
日本の歯医者の中には感染のリスクが高いのは患者様より私たちスタッフの方だとの意見もありますが、院内クラスターの報告等でも、もしスタッフが感染してしまった場合多くの患者様へ感染する可能性があることから、患者様が感染しないようにするためには、まず私たちスタッフが感染しないことと考えて対策にあたらせて頂きます。
今まで歯医者は肝炎やエイズの感染対策に取り組んできたので、新型コロナウイルスに対しても安全だとする意見がありますが、それらのウイルスは新型コロナウイルスの様な飛沫感染、空気感染のリスクがほとんどありませんでした。全く違う性質、違う感染経路、感染力をもったウイルスに対して、楽観的過ぎる意見だと思います。
以下、それぞれの経路に分けて当院での取り組みをご案内します。
(医歯薬出版「感染対策実践ガイド」より一部引用)
接触感染
・毎朝、出勤前にスタッフ全員が検温して写メを院内のSNSグループに送ります。もし37.5℃以上あれば自宅待機とします。
・今までも患者さんごとにグローブを交換していましたが、診療のアシスタント以外受付等でも常時グローブを着用します。
・常時滅菌された防護服、マスク、ゴーグルまたはフェイスシールドを着用し、グローブで器具に触れた後は手指のアルコール消毒をします。現在防御服等が不足してきているので、最前線で治療に当たっている方々のご迷惑にならないように、以前のインプラントのオペ用の在庫を滅菌して再利用しています。
・待合室のソファ、ドアノブ、キャビネット等の患者様、スタッフが触れるところ全て、お昼と診療後にアルコール消毒を致します。
・診療前に患者様には、入り口でのアルコールでの手指消毒、受付での問診、非接触型体温計での検温、診療室に入った後のうがい薬でのうがいにご協力をお願いします。体調のすぐれない方には、投薬での症状改善を優先します。
・お金にウイルスが付着している可能性があるので、できれば交通系ICカードかクレジットカードでのお支払いをお願いします。
・待合室入口、診療室入り口のドアは開けたままにさせて頂きます。温かいお洋服でいらして下さい。
・キッズコーナーのおもちゃ、絵本は一時撤去させて頂きますが、キッズコーナーは引き続きご利用になれます。
飛沫感染・空気感染
・待合室、診療室では常時窓を開け、換気を行います。
・ご来院時、待合室、受付でのマスクの着用にご協力ください。
・待合室では互いに距離を開けてお掛け頂きます。
・休憩時間をスタッフ間でずらし、休憩室では離れて座って食事をとります。また、休憩室でも窓を開けて換気します。
・トイレのフタを開けたまま水を流すと、病原菌の微小な水滴が外に吹き出し、便器の上約25cmまで菌が飛び散り、さらに90分経っても空気中から菌が検出されるとの研究があります(コロナウィルスは細菌ではありませんが同様に考えられます)。待合室のトイレの使用後は、水を流す前に必ずフタを閉めるボタンを押してフタを閉めて下さい。その後、水は自動で流れます。
血液媒介感染
当院では従来より、世界水準の滅菌システムを導入しています。
1.ミーレジェットウォッシャー
治療器具の洗浄→消毒→乾燥を自動的に行ってくれます。血液や組織の洗浄効果に優れていて、高水準消毒のレベルまで仕上げます。芽胞を除く全ての細菌、ウイルスを死滅させます。
何よりも、器具の手洗いをする作業がなくなることで、器具を指に刺してしまう等のリスクがなくなり、スタッフの安全や感染予防に繋がっています。
2.クラスBオートクレーブ滅菌器(DACプロフェッショナル)
世界で最も厳しいクラスB規格をクリアしたオートクレーブで、医科の基準に準じた高度な滅菌を行うことができます。
器具の外側だけでなく、内部の隅々まで蒸気を行きわたらせて滅菌されるため、清潔で安全な器具を使用することができています。
3. ハンドピース滅菌機(DACユニバーサル)
歯を削る器具(ハンドピース)も短時間に洗浄⇒注油⇒滅菌⇒乾燥まで全てを1台で行います。
治療後のハンドピースには、唾液や削りカスだけでなく、血液や細菌、ウイルスが付着している可能性があります。しっかりと内部まで滅菌してくれる機械がこのDACユニバーサルです。
ハンドピースは使用後にホースから外して滅菌し、患者様ごとに新しいものに交換しています。
・基本セット
当院では基本セット(口腔内ミラーやバキューム、ピンセットなど)を1セットずつパックして滅菌しています。
もちろんコップやエプロン、グローブはディスポーザブル(使い捨て)の物を使用し、患者様ごとにかえています。
今後一層の努力をしてまいりますので、ご協力を宜しくお願い致します。